狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

ひさびさにビブラム・ファイブフィンガーズで。

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2011年4月11日の写真です。震災から2ヶ月。もやもやしながらも、やっと定期的なランを再開したころです。履いているのはビブラム・ファイブフィンガーズのビキラ。この色好きだったなあ。

本日、ひさびさにファイブフィンガーズで走りました。やっとあったかくなってきましたから……冬と夏は路面の温度が伝わってつらいんです。

クリストファー・マクドゥーガル『BORN TO RUN』が翻訳出版されたのは2010年2月でした。「人間はナイキのような分厚いシューズで走るべきではない。ひとの足を守るためのクッションがかえってランナーを故障させてしまうからだ。ナチュラルに裸足で走るのがいい」といった意味のことが書いてありました。

さかのぼって2009年の、うららかな春の日のこと。ジョギングしていると、遠くからガツンガツンとなにやら異様な地響きが聞こえました。だんだん音が大きくなります。なんだろう、と警戒していると、ファイブフィンガーズを履いた人が脂汗を流し、苦悶の表情を浮かべて私のそばを走り抜けていきました。「裸足で走ると自然にフォアフット着地になる」と言いますが、少なくともあのひとは踵着地でした。裸足の場合、面積の小さな踵で着地するとかなり痛みます。あの音からして相当な衝撃だったはずです。私もファイブフィンガーズのことはすでに知っていて、試すチャンスをうかがっていたんですが、あのひとを見て怖くなり、しばらく敬遠していました。

初めて履いて走ったのは2010年9月9日のようです。当時は輸入元が違ったようで、入手困難でした。やっと手に入れたのは、Classicといういちばんシンプルなモデル。

私はフォアフット着地ですから違和感なく走れました。クッションがないぶん路面の反撥を推進力にできます。とにかくスピードが出るというのがファーストインプレッションです。そのため、当時は滅多に切れなかったキロ5分を切ってアハハハとバカみたいに疾駆しました。

  ……翌日、全身に激痛が!

筋肉痛がおさまるまで1週間かかったのでした。
以来、何足か履きました。当時は、いまと輸入代理店が違ったこともあり、日本ではファイブフィンガーズが入手しづらかったんです。私は米Amazonで個人輸入した記憶があります。ためし履きができないのでサイズで失敗したこともありました。

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『BORN TO RUN』以降、裸足ランのブームが起きました。私も読みました。裸足ランの意義には賛同しています。ルナサンダルも履きつぶしましたし、芝のうえを素足で走ることもあります。子供のころは裸足の王者アベベ・ビキラの伝説がまだ強烈に残っていましたから、裸足ランにはあこがれがあるんです。

しかし一方、裸足ラン至上主義みたいな人々とは一定の距離を置いています。

「裸足になればすべてうまくいく」と考えている人がいるんです。しかし、語弊があるかもしれませんが、裸足やファイブフィンガーズやサンダルで走っている人で「いい走り方してるな」と感じる人はそれほどいません。お尻が落ちて小股で走る人も結構います。踵着地も意外に多く、そういうランナーは衝撃におびえてゆっくり走っています。シューズを脱いでもスピードは極端に落ちるものじゃないと思うんです。アベベ・ビキラは世界記録を出したんですよ、裸足で。

ウォータステインだったかな(間違えていたらすみません)、《歴史上唯一成功した革命は1960〜70年代あたりの左翼運動だけだ》みたいなことを言いました。左翼思想は滅びたようでありますが、ヒッピーに代表されるように、かつての運動家は反体制的で人間的なカウンターカルチャーをいくつも生み出しました。日本でも同様の動きがあったようです。有機農法、スローフード、ベジタリアン、フォークソング、アメリカンニューシネマ、さまざまな市民運動、ポルノ映画、ジョギング、トレイルランニング……。

着実に若い世代に引き継がれているものもあります。たとえばスローフード・フェアみたいなのに行ったらバンダナ巻いて生成りのシャツを着た容子のいい若者が笑みを浮かべ、有機野菜で時間をかけて料理をつくってくれます。彼らのライフスタイルには共感するし、応援してあげたい。でもどこか「原理主義者」めいた感じがあり、意見の異なるひとたちを排除する雰囲気を感じるんです。仲間意識が強く、多様性を認めない……。そういうのを私はあんちゃん文化と呼んでます。

裸足ランの世界も、カウンターカルチャーの延長、あんちゃん文化の一種のように感じます。いつかの青梅マラソン直前、裸足の若者3人があたりを睥睨し、「みんな高そうな靴履いてるねえ」とひとに聞こえるように会話していました。そのくせ顔は緊張でこわばっているのです。山ならともかく青梅マラソンのアスファルトの坂道を下るのに、裸足は向かないと思うんですけど。

今はときどき体のチェックのために履く程度です。自分のクセがよくわかります。

本日はキロ6弱で走り、最後だけ4分ちょっとに上げました。草のうえも少し走りました。オフロードを走ると裸足で遊んでいた子供のころを思い出します。高尾山〜陣馬山往復をまたやりたいなあ。(ガレ場では足がヒリヒリしました)

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裸足ランにご興味あれば、『BORN TO RUN』を。いや、この本は裸足ランに興味がなくてもおすすめしたい名著です。

走り方について書かれているわけではありませんが、アベベ・ビキラの伝記も面白く読みました。下記の2冊は、たがいに欠けている情報を補完しています。

追記=翌日の深夜、小雨のなかビブラム・ファイブフィンガーズで走りました。水たまりでシューズが濡れるのはイヤなものですが、これなら気になりません。

追記=雨でも大丈夫。

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