狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

河村たかしのメダルがぶり

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河村たかし名古屋市長が、表敬訪問した女子ソフトボール選手から金メダルをクビにかけてもらったさい、おもむろにマスクをはずし、メダルを持ちあげガブリとかじりました。あたくし、動画を見てゾッとしました。「メダルがケガれた。もう要らない」と河村氏の顔にストレートで投げつけてほしかったな。ほんとバッチイ。コロナ禍でなくてもバッチイ。この選手が自分のメダルを見せるたび、「あ、河村がかじったやつだ」と思われるのです。JOCは新しいメダルと交換してあげてください。

しかし、これ、いろんな意味で日本を象徴する行為だと思いました。

第一に、男性中心社会を表しているということ。ミソジニー(女性差別)全開です。河村氏は相手が若い女性だから、平気でこんなことをやっちゃう。相手が屈強な男だったらこんなことしないでしょう。

第二に、政治家は他人の努力に敬意を払わず、むしろ人の手柄を横取りしようとすること。河村氏にオリンピック利権はないでしょうが、メダリストに並べば人気取りに利用できますし、笑いを取れると思えばメダルをしゃぶることさえするのです。

第三に、権力者に注意する人が誰もいないこと。メディアふくめ何人いたか知りませんが、その場ではみんなヘラヘラ笑っていたんでしょう。

さすがに、ニュースで一連の悪ふざけを見た人たちは笑ってすまさなかったらしい。河村氏はいろんなところで批判され、そのうえ選手が所属するトヨタにも叱られていて、相当焦っているのではないでしょうか。「迷惑をかけているのであればごめんなさい」という、これまた日本の政治家らしい中途半端な謝罪をした模様です。

河村氏は愛知県知事の署名偽造事件において、約3万4千人2010年の市議会リコール署名データを提供したことを認めています。なぜ名古屋市長でいられるのかわかりません。

──2021年8月5日。感染者TOKYO5042。

やはりパリピか、日本人?

やはりパリピか、日本人?

バッハ高笑い!?東京五輪『やってよかった』が77%」(→女性自身)より。

【東京五輪は楽しみですか?】(6月23日~25日調べ)
楽しみ=16%

今は楽しみではないが、始まれば楽しめそう=31%

最後まで楽しめないと思う=30%

興味がない=23% 

【東京五輪は開催して良かったと思いますか?】(7月27日~7月30日調べ)
はい=77%

いいえ=23%

開催してよかったと思う理由としては、「最初は反対でしたがやっぱり見てしまう。選手の頑張りには感動します。日本の政治や委員会の人選は選手に関係ないから」「コロナ禍で明るいニュースもなかったが、選手の素晴らしい活躍のお陰で家族みんなで盛り上がれたため」といった声が寄せられた。

興味深い結果です。オリンピックの開会式は7月23日でした。 「最後まで楽しめないと思う」と「興味がない」の53%のうち、半分くらいウエイウエイになったんですね。

やればパリピか、日本人?……途中まで答え合わせ/1

本年6月27日、当ブログに「やればパリピか、日本人?」という記事を書きました。丸山眞男が日本人の意識を「つぎつぎになりゆくいきほひ」(時勢に流される)だというとおり、オリンピックが開催されれば、みんなワクワクしはじめ、しまいには「私の個人的意見は反対でありましたが、すべて物事にはなり行きがあります」(東郷茂徳)と同じことを言うのではないか? という内容です。

丸山はそれを「既成事実への屈服」と書いています。

東京裁判でアメリカ人検察官が驚いたのは、当時の政府、外交官、陸軍、海軍指導者たちが全員「戦争には反対だったけど、始まったからには他の途がなかった」と口を揃えたことでした。(三国同盟に賛成したのかと問われて)「反対とか賛成とかいうことは起こってしまったことでありますから云々」白鳥敏夫。(なぜこの戦争を聖戦と呼んだのかと問われ)「その当時の言葉が一般に『聖戦』といっておりましたので」南次郎。「われわれ日本人の行き方として、自分の意見は意見、議論は議論といたしまして、国策がいやしくも決定されました以上、われわれはその国策に従って努力するというのがわれわれに課せられた従来の慣習であり、また尊重せらるる行き方であります」小磯国昭。

「でかかった小便はとめられない」って誰かが言いましたよね。あれは至言です。

上記アンケートの「最初は反対でしたがやっぱり見てしまう」と同じです。

やればパリピか、日本人?……途中まで答え合わせ/2

さて、6月27日「やればパリピか、日本人?」には、こんなことも書いています。

オリンピックの強行
→ 他国の選手の準備不足や、参加しない国や地域があるため、日本のメダルラッシュ
→ 日本人メダリストがニュースやワイドショーに連日出演
→ 国民みんなパリピ状態
→ 内閣支持率急上昇
→ オリンピック・パラリンピック終了後、2度目の10万円給付
→ 国民ウエイウエイ、支持率ますますアップ
→ 秋の衆議院選、自公勝利
→ 菅義偉首相、自民総裁に選ばれ続投

大いにありうると思われます。感染状況がひどければ、パラリンピックだけを中止して英断したと見せるのがプランBだと予想します。

いまは「国民みんなパリピ状態」ですね。予想ときはさすがにここまで感染爆発が起きると思わなかった(第4波の波はもう少し大きくなり7月下旬くらいに落ち着くんじゃないかと予想していた)ので、支持率急上昇が起きるかどうかはわかりません。

きのう、菅義偉首相は「重症患者や重症化リスクの特に高い人には、確実に入院してもらうよう、必要な病床を確保するとともに、それ以外の人は、自宅での療養を基本とし、症状が悪化すれば、すぐに入院できる体制を整備する」と言ったとか(→NHK)。ここんところ「スポーツの力を信じる」という不思議な慣用句をしばしば見かけますが、今度は「自己治癒力を信じましょう」か?

さすが「まずは自助」の人です。中等症でも肺炎で苦しいらしいのに、病院に入れないとは……。私は「必要な病床を確保できません。われわれはコロナ対策に失敗しました」という敗北宣言と等しく見えますが、ドヤ顔で言っているのが不思議です。

オリンピックはウエイウエイでかまいません。でも冷静に社会全体を眺めましょう。今は公金がオリンピックに流用され、税金や保険料を払っている国民は「自助」を求められる非情な状況です。東京都では119番に電話しても半数は搬送先がないんだとか……(→FNN)。感染はじめ健康には充分気をつけましょう、次の衆議院選挙まで。

──2021年8月3日。感染者TOKYO3709。

 

9秒9の壁

オリンピックに反対している人も競技を見て楽しんだらよいと思っています。選手は努力を重ねてそれぞれの試合に臨んでいるのだから、視聴者は彼らのパフォーマンスを観ればよい。悪いのは、真夏の炎天下という最悪の条件で選手を苦しめたり、コロナ流行のまっただなかで強行したり、ひとの真剣なパフォーマンスや喜びや悲しみをカネに換金して懐に入れようとする人びとです。

とはいいながら私自身はオリンピックをほとんど見ていません。近所を通った自転車ロードレースも観戦しなかった。日本選手のなかでは、カープの選手は活躍しているだろうかとか、中学高校時代から応援している山縣亮太選手はどうなったかとか、気にはなりますけど、わざわざ競技スケジュールを追っかけていません。結果はネットで伝わってきます。陸上だけは動画を見るつもりです。

★   ★   ★

男子100mの決勝には驚きました! 以下はリザルトです。風は+0.1m。

順位 選手 Time
1 ラモント マルセル・ジェイコブズ(イタリア) 9.80
2 フレッド・カーリー(アメリカ) 9.84
3 アンドレ・ド グラス(カナダ) 9.89
4 アカニ・シンビネ(南アフリカ) 9.93
5 ロニー・ベイカー(アメリカ) 9.95
6 蘇 炳添(中国) 9.98
- エノク・アデゴケ(ナイジェリア) - DNF
- ザーネル・ヒューズ(イギリス) - DQ

フィニッシュした6人全員が9秒台で走っています。 ラモント マルセル・ジェイコブズ選手はヨーロッパ記録とのこと。

↓↓決勝動画↓↓

↓↓予選動画↓↓

残念ながら準決勝の動画はNHKのサイトに見当たらず……。予選からジェイコブズ選手や蘇選手の状態がいいことがわかります。日本の3選手はガチガチですね。

レース展開次第ですが、予選を通過するには10秒10は切らなければならず、準決勝を通過するためには10秒00を切らなければならない、という時代に入ったらしい。日本人選手も速くなりましたが、世界も進化しているということでしょう。そもそも今回の参加標準記録は10秒05でした。次のオリンピックはもっと厳しくなっているかもしれません。

決勝に進んだ中国・蘇炳添選手もお見事です。同選手は決勝の2時間前に行われた準決勝を、9秒83(+0.9)というアジア記録で走っています! 2015年にアジア出身選手として初めて9秒台を突破した選手である蘇選手は、初めて9秒9を突破した選手でもあり、1日に2度9秒台で走った選手でもあるわけです。

日本人には9秒90の壁が立ちはだかっているのか? 山縣選手は蘇選手の記録が目標と言っていましたが、まだまだ強くならないといけませんね。蘇選手は31歳。山縣選手は29歳。

──2021年8月2日。感染者TOKYO2195。

『五輪と戦後』2/2

吉見俊哉『五輪と戦後 上演としての東京オリンピック(河出書房新社)のなかから、軍都がオリンピックシティになった、という話を──。

江戸以来、日本橋、神田、湯島、上野、浅草、両国など、江戸城から見て東、とくに東北方面が《宗教や学問、商業の中心地》でした。上野・寛永寺は徳川家の菩提寺であり、さらに寛永寺の先には、徳川家康を祀る日光東照宮が在ります。明治以降も、上野に博物館、美術館、動物園、東京藝大、本郷に東京帝国大学ができます。

関東大震災ののち、軍都・東京は西もしくは南西へと膨張します。とくに重要だったのは、大山街道(国道二四六号)沿いです。《明治中期には皇居付近の兵営が次々に大山街道沿いに移転し、赤坂、麻布、青山周辺は日本陸軍の中枢地区となっていった。この流れは渋谷周辺まで及び、》《さらに日清戦争後、》《明治三〇(一八九七)年に大山街道に沿って下馬、三宿、池尻、上目黒を結ぶ広大な土地に騎兵や砲兵のための駒沢練兵場が造営されていった。世田谷方面には、衛戍病院や関連機関、将兵の師弟たちのための学校も整っていくことになる》。

1945年に敗戦を迎えると、日本軍の施設の多くは占領軍に接収されるとともに、旧大山街道の赤坂、六本木などにアメリカ文化が浸透します。

1952年、米軍統治は終わり、接収された施設が徐々に日本に返還されると、スポーツ施設や公園になっていきます。つまり軍都・東京が1964年のオリンピック施設に姿を変えるのです。

下の地図は、1964年東京オリンピックの関連施設です。

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(①国立競技場 ②武道館 ③後楽園球場 ④早稲田大学記念会堂 ⑤代々木オリンピック競技場/選手村 ⑥駒沢オリンピック公園 ⑦馬事公苑 ⑧砧ゴルフ場 ⑨戸田漕艇場 ⑩朝霞射撃場)

国立競技場(①)は旧青山練兵場であり、占領下にはナイキ・キミック・スタジアムと呼ばれていました。

当初、日本政府や東京都は、1964大会の選手村を、埼玉県・朝霞(⑨)につくろうと思っていたそうです。戦前、朝霞には海外にも知られたゴルフコースがありましたが、戦時中、さまざまな軍事施設が置かれます。占領期には東京近辺最大の米軍基地キャンプドレイクとなっていました。それを返還してもらおうと考えたのです。選手村のほかにいくつかの競技施設も併設するはずでした。

ところが、交渉を始めた1961年に予期せぬことが起きます。米軍は都心の一等地である代々木のワシントンハイツを返還するというのです。

じつはアメリカの思惑は、東京の中心地から次々に米軍施設を消すことでした。55年の立川・砂川闘争や沖縄の反基地闘争、60年安保など、反米運動を恐れた米軍は目立たない戦略的判断を選択し、西東京外縁部(横田や座間や厚木など)へと隠れていくわけです。結果的に、返還されたワシントンハイツのあった場所に国立代々木競技場が建つことになります。

駒沢オリンピック公園、馬事公苑、砧ゴルフ場(砧公園)もたしかに246号線沿いです。オリンピック開催地と占領軍の地政学的戦略がリンクしているのがおもしろい。

朝霞では射撃がおこなわれました。

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一方、取り残された東京の東側について──。

日本は1940年の冬季オリンピックを誘致。候補地として最終的に札幌と日光が争い、札幌が勝利します。

《江戸時代、徳川家の最重要の聖地として優遇されてきた日光は、同じく江戸における徳川の聖地だった上野と同様、明治国家体制のなかでは周縁化されてきた。他方で札幌は屯田兵の開発基地であり、明治国家からすればその最初の内国的植民地経営の中心だった。つまり日光と札幌は、(略)江戸幕府の宗教的聖地と明治政府の反軍事開発基地という点でも対立しており、ここで再び近代日本は、国土開発的菜支点からも札幌の重要性に気を配ったとも言えるのである。そして札幌は、この一九四〇年のオリンピックが準備されていく過程で、それまで道内最大の都市だった函館を抜き、北海道の中心としての地位を確立していく。一九三〇年代から六〇年代までのプロセスで、札幌は函館とも旭川とも小樽とも異なる北海道の中の東京のような地位を確立していくのである。》

1940年の冬季オリンピックに札幌は選ばれますが、日中戦争のため返上します。1964年東京夏季大会ののち、1972年に札幌で冬季オリンピックが開かれたのは周知のとおり。

私は何度か「明治からずっと官軍・薩長支配が続いている。賊軍は差別され続けている」と書いていますが、戦後、札幌と日光の争いにもそんな事情が隠されていたなんて驚きです。

──2021年7月30日。感染者TOKYO3030。

『五輪と戦後』1/2

吉見俊哉『五輪と戦後 上演としての東京オリンピック(河出書房新社)は、1964年東京オリンピックを起点としてアジアのオリンピックのドラマトゥルギー(帯の文言を借りれば、いかに舞台は整えられ、いかに演出、上演され、いかに再演されてきたか)を解明する1冊でした。

気づけば、吉見氏の本をよく読んでるなあ、私。本書に何度も触れられる吉見『万博幻想 戦後政治の呪縛(ちくま新書)も以前読みました。

さて、『五輪と戦後』で、著者が1964年の東京五輪を問い返されなければならない理由を三つ挙げています。

  1. 1964東京大会が高度経済成長の「成功」を象徴するものとして強力な神話作用を帯びるにいたったかを明らかにするため。
  2. 1964年東京大会が軍都・東京からオリンピックシティへと空間的変容を遂げたのかを考察するため。
  3. 東京五輪は、韓国と中国の首都で行われた1988年ソウル大会や2008年北京大会の前例となった。冬季オリンピックで或る1972年札幌、1998年長野、2018年平昌、2022北京などをふくむ東アジアのシリーズが、欧米のオリンピック・エリートを越え、ポスト帝国主義やポスト植民地主義のモメントと結びついてきたのかを1964年大会を検証することで解明できるから。

豊富な資料をもとに、女工哀史と東洋の魔女、軍人と円谷幸吉を関連させて論じるところや、市川崑『東京オリンピック』と政治の話なども知的好奇心をくすぐり、読み応えがありました。

著者は、2020年以降のオリンピックがどのようにあるべきか、最後に提案しています。もはや「速く、高く、強く」ではない。東京が脱成長をして人間性をとりもどした街になるべきだとし、近代オリンピックも転換の時期にあると、乱暴にまとめるとそういう提案です。私も大いに賛同します。一部の人たちが税金に手を突っ込んで稼ぎをむしり取ったり、国家間のナショナリズムを賭けた争いにするイベントにはほとほと呆れました。ただ、新自由主義的な考えが蔓延するなかでひとの意識を変えるのはなかなか難しいのかなあ。

──2021年7月29日。感染者TOKYO3865。

TOKYO3177

今朝テレビを観たら、電波ジャックされたかのようにオリンピックばかりやっています。

選手がマスクなしで抱き合ったりするのを観ると、まったくのパラレルワールドですね。ザッピングしたら、始まったばかりのニュースがありました。ホッとしたのも束の間、「なんとかともる選手が銀メダルです」と言います。

オリンピックがほかの国際スポーツイベントと決定的に違うのはコンテンツが豊富にあることで、だからどのチャンネルにもたいてい日本人が映ります。どこかの局が「スポーツのチカラ」と画面に表示していましたが、スポーツの力って何でしょうか。少なくとも「コロナに対する免疫をアップさせる力」ではありませんね。

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きのうの感染者はTOKYO2848、本日はTOKYO3177。2日連続で過去最多を更新しています。全国で見ても最多の9500人超だそうです。

覚えていますか、6月に、組織委からこんなフワッとしたグラフ(「五輪開催で感染者が急増、東京1日1000人に…政府が試算 パラリンピック開幕を直撃」→東京新聞)が示されました。

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(略)6月以降、都内で人出が毎週5%ずつ増加すると仮定。大会を開催するケースではこれに、五輪時に1割、パラリンピック時に5%の人出増を加味した。

 ただ、ワクチン接種は5月末までの接種分しか考慮していないといい、実際には接種が進み、感染者数が試算より抑えられる可能性もある。

この表に、実際の新規陽性者をだいたい重ねてみました。(→NHKサイトより)

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組織委が示したグラフがどれだけ杜撰か、わかろうというものです。ちなみに「五輪入国『感染増は限定的』 無観客など人流抑制が必要 東大准教授ら推計」(→日経新聞)なる記事には別のグラフもあります。どれだけオリンピック・パラリンピック開催のリスクを低く見せたかったのか……。

オリンピックに合わせてつくった4連休で、多くの人が帰省や旅行で東京を離れたといいます。「感染拡大は人の接触や移動にともなう」は昔からの常識です。北海道や沖縄の感染増が4連休の影響であるのは間違いありません。

週末に用事があって出かけたりすると驚きます。マスクを着けている点が違うだけで、人出はコロナ前と同じようなものだからです。人出がガクッと減る要素はありませんから、しばらく感染者は増え続けるでしょう。お盆休みはどうなることやら。

ちなみに、菅義偉首相はきのうの記者会見で「ジンリューが減ってきている」と発言したそうですが、今日の閉会中審査(衆議院内閣委員会)で西村康稔大臣に否定されていました。

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ところで。こんなことをいう人がたくさんいるのです。

感染爆発はオリンピック開会式の前から始まっている。だから、第5波はオリンピックが引き起こしたものではない。オリンピック反対派は黙れ!

もう1度書けば、人の動きと感染リスクは相関性がありますから、渡航者により感染が拡大する可能性はあります。しかし私がオリンピックに反対している理由は「海外からウイルスが流入する可能性があるから」だけではありません。

  • 海外選手、スタッフ、記者たちが日本でコロナ感染し、持ち帰る可能性があるから。

1ヶ月ほど経て、世界のあちこちから「オリンピック株蔓延」と言われなければいいんですが……。ほかにも、開催を喜べなかった理由はありますよ。

  • 選手たちがマスクせずに喜び合ったりしているのを見て、市民の気が緩む。
  • 今回、事前合宿できなかったり行動制限されたりして海外の選手は心身ともに最高潮の状態で臨めない。スポーツに必須のフェアネスが確保されない。

危険であるだけでなく、たいへん不公平な大会に映るのです、私には。

見てないけど開会式雑感

Wikipedia見たら、1964夏季東京大会の音楽は、團伊玖磨、黛敏郎、古関裕而。

1972冬季札幌大会は、矢代秋雄、山本直純、古関裕而、岩河三郎、村井邦彦( トワ・エ・モワ「雪と虹のバラード」)。

1998冬季長野大会は、総合演出・浅利慶太(シニアプロデューサー萩元晴彦、音楽アドバイザー小澤征爾、イメージ監督が新井満、映像監督が今野勉)とあります。長野の開会式の出来がよかったとは思いませんが──。

さて、2021夏季の東京大会開会式です。

過去の大会と比べて大御所っぽさがないうえ、かつサブカルとかポップカルチャー寄りじゃありませんか? 辞任した人ふくめ、式典の統括は日置貴之エグゼクティブプロデューサー、開閉会式のショーディレクターは小林賢太郎、振り付け担当はダンサーの平原慎太郎、音楽監督は田中知之、舞台美術は種田陽平、開会式の作曲担当は小山田圭吾、聖火台のデザイン佐藤オオキと発表されました。そりゃまあ、世界に名の知れ渡った文化人とか藝大出身者じゃなきゃいけないとか言いませんけど、安倍政権以降、日本のハイカルチャーが目立たないんです。サミットや天皇行事にEXILEとか嵐が出てくるんですよ。こういうのも学術会議問題などに代表される専門家軽視(というか蔑視)みたいなのと通じるんでしょうか。

……と、きのうFacebookに書きました。

夜におこなわれた開会式は見てないんですけど、今朝、流れていたのがゲームの曲だったとか聞くと「やはりね」という感じです。プラカードがマンガのふきだしだったというのにはふきだしたぞ! 本来、サブカルってメインカルチャーやハイカルチャーへの対抗文化(カウンターカルチャー)のはずです。「マンガばかり読んでいたらバカになるよ」「ゲームばかりしちゃいけません」と言われていることがマンガやゲームの価値だったのに、いつのまにか権威と結託しました。

それとも……もしかして日本全体が幼稚になっているのか?

三枝氏も同じことを書いていました。(→三枝成彰「日本人の「知性低下」を露呈した東京五輪…政治家も官僚も私利私欲に走る」日刊ゲンダイ

 東京五輪の人選にはそうした文化への深い理解がまったく感じられない。元文科相や政府首脳らのお歴々が、歴史、哲学、芸術などのリベラルアーツを知らないからこうなるのだ。

 日本人の知性は、ここまで低下してしまったのか? まったく恥ずかしい。モラルも消え失せた。政治家も官僚もウソを重ね、私利私欲に走って弱者を食い物にしている。いい加減に目を覚まし、早急にモラルと“知”の構築をし直さないと、現実問題として、この国の行く末は危くなる。

暑いね、今日も。

 

【追記】断片的にいろんな情報がわかりはじめました。長嶋茂雄はないよね。王や長嶋を知る外国人選手なんて会場の外国人選手にはほとんどいません。そもそも野球を知っている人のほうが少数派でしょう。誰のための開会式なのか? ドローンショーというのは素直に驚きました。Intel が請け負っているそうです。