ボランティアで千葉に行ったとき、バッグに本を入れ忘れたんです。西千葉駅の書店で『すばらしい新世界』新訳を買って読みました。ディストピアの古典です。別の訳で読んだときも感じましたが、世評ほど面白いとは思いません。新世界の、多様性のない階層社会は現代社会を戯画化したようなものだし、対置される一神教社会もあまり好ましく感じないせいかなあ。
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なにかの本に、生物学者ジュリアン・ハクスリーが「進歩の四段階説」を唱えたと書かれていました。ネットで調べてもわかりません。古本屋でたまたま見つけて『進化とはなにか』を買ったのです。ただ、残念ながらこの本には「進歩の四段階説」については書かれていなかった。
きのう、国連気候行動サミットで環境問題を訴えたスウェーデン生まれのグレタ・トゥーンベリがバッシングされているニュースを読みました。
誰かに利用されているとか、学校に行けとか……大きなお世話です。
アメリカや日本の社会では、子供を独立した人間と見ず、意見表明するを嫌うのかもしれません。でも、彼女がどうしてこのように振る舞うのかは、『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む』などを読めばわかります。グレタは少なくともきちんと自立した、賢い人格です。
環境問題に関していえば、1960年代に公刊されたレイチェル・カーソン『沈黙の春』は世界で広く読まれました。地球温暖化対策についても『不都合な真実』でアル・ゴアはノーベル平和賞を取っていて、グレタのオリジナルではないのです。どうして、少女の社会活動家だけが矢面に立たされるのでしょうか。
ふと思い出し、『進化とはなにか』を書棚から取り出して拾い読みしました。
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……そういった事情で、『すばらしい新世界』と『進化とはなにか』が机のうえで無造作に重なっていました。さきほど、『すばらしい新世界』の「訳者あとがき」を読んでなかったな、と大森望の文章を読んでびっくり! 作者オルダス・ハクスリーの兄はジュリアン・ハクスリーなのです。
はからずも、私の机のうえに兄弟の本が重なっていたのでした。ふたりのおじいさんは有名な生物学者、おとうさんは出版人だったそうです。
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スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む: 日本の大学生は何を感じたのか
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