狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

自己責任小咄

毎度ばかばかしいお噺を一席。

ここんとこ、なにごとも自己責任だそうで。病気になったら自己責任、貧乏したら自己責任、雨に濡れたら自己責任。空があんなに青いのも電信柱が高いのも郵便ポストが赤いのもみんな私が悪いのよ。柳亭痴楽はいい男。

せちがらい世の中でございます。

何十年もせっせと納めてきた年金なのに、支給額は減る一方だとか。定年までに2,000万円貯蓄せよなどと言った政治家がありました。老後資金も自己責任なんですな。

「さて、俺もそろそろ死にそうだ。女房にも先立たれ子どももねえから、手持ちの金を使い果たそうか」と、お姉ちゃんのいる店でパーッと散財したところ──おねえちゃんから若さを吸い取ってしまったのか──あれ、なかなか死なないぞ」なんてね。「死なないな、困ったな」で、破産して。

そういうのもいわゆる自己責任なんでしょうな。何歳まで生きるか知っていて逆算できる人がいるんでしょうか? 老後資金貯めさせて、そのうえ年金支給年齢を高くして、定年後も働けなんて話もあるようでして……。いったい私は何歳まで生きて、何歳まで働くの?

「お〜い八っつぁん、見てくれ、42.195キロ完走したぞ〜!」
「熊さん、気の毒だが、今年からフルマラソンは5キロ延びたってよ」
「えっ? ここから5キロは心の臓に悪かろう。もう息が続かねえや」
「お上の決めたこと。ここが我慢のしどころだ、あと5キロ精を出しな」
「ぜえぜえ、47.195キロだ。これで仕舞えだ、べらぼうめ」
「おい、ついさっき、マラソンはさらに5キロ延びると決まったぞ。走れ」
「なんだ」とガラガラ声に八っつぁんが顔をあげますってえと、驚いたのなんの。「あっ、おまえ麻生太郞じゃねえか! ひょっとこ野郎、我慢ならねえ、リタイアしてやる」
「リタイアは勝手だが、自力で帰れ。収容バスはない。自己責任だ」

おあとがよろしいようで。