5月18日(土)に、『東南アジア狩猟採集民の生活と子どもの発育発達 ~文明は人の身体から何をうばうのか~』という展示を見に行きました。数日前に気づき、「なななんと、今度の土曜日が最終日だ!」とあわてて出かけたんですが、大妻女子大学博物館のツイート(こちら)によると、8月4日(日)まで会期が延長されたようです。
JR市ヶ谷駅から歩いて5分強かな。まっすぐ行って右に曲がって左に折れて……。おおっ、ここだ。
私にとって狩猟採集民はアイドル。
つまり、ここはアイドルの写真展なのです。握手会はありませんが。
大妻大学・大澤清二先生たちのグループが長きにわたってフィールドワークされたミャンマーやタイの少数民族に関する展示です。
入ってすぐ、Goldschmidt の Man's Way モデル(大澤清二先生が加筆)の表がありました。さらに私が整理したものを書きます。
人間の歴史は以下のように変遷(私はあえて「進歩」と書かない)するそうです。
① 移動的狩猟採集社会
↓(定住革命)
② 定着的狩猟採集社会
↓(農業革命)
③ 農村的村落社会(園芸的村落社会)
↓
④ 農業的・国家社会
↓(産業革命)
⑤ 産業的都市的卓越型社会
↓(情報革命)
⑥ 高度の情報社会
さて、この展示会には、①〜③にあたる民族のフィールドワークです。
① 移動的狩猟採集社会を営むミャンマーのサロン族。
② 定着的狩猟採集社会に移行したばかりの、タイのムラブリ族。
③ 農村的村落社会を営むミャンマーの山岳地帯に暮らすカヤン族など。
日本でいえば、もちろん断言はできませんが、① 石器時代、② 園芸もおこなっていた縄文中期以降、③ 稲作をしていた弥生時代に対応すると想像されます。
アマンダン海を航海するサロン族(①)は、家船で生活し、小舟(丸木舟)で漁をし、女は干潟で採集するそうです。視力は2.0が普通。4.0以上も少なくないとか。ビックリだぜ。子供は泳ぎや潜水が得意で、小さな頃から平衡維持能力が高い。鉈を使い、火をつけ、調理をするなど、能力が早くから発達していると説明されます。
最近タイ政府に誘導されて移動民から定住民となったムラブリ族(②)は、以前は他の姿を見せないことで有名だったとか。現在の主食はヤムイモ。雨季は筍などを食べ、肉、魚、虫など、タンパク質も豊富。子供は、思春期の発育スパートが認められないことがわかったのはこの研究チームの発見らしい。ムラブリの5人の足型がありました。1人の右足を除き、小指までしっかりプリントされていました。
人類学的には、戦争は農村が発達してからだそうです(異論もあります)。
農耕社会カヤン族、ナーガ族、ワラン族など(③)の場合、食糧の貯蓄が進み貧富の差が生じ、部族間戦争が起きているとか。狩猟採集生活では必要最小限の装いだが、こちらは美しい衣装を作る技術が発達しているそうです。戦闘服も飾ってありました。
子供の発育が研究テーマであるらしく、私の興味のポイントとは若干外れるんですけど(研究者の方に質問したかった)、それでも充分面白かった。
リンクの記事は、写真が多い。再度書きますが、展示は8月4日まで延長されました。わたしもまた行きます。