狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

なんかね。

前にも書きました(記事のおしまいにリンクします)が、高校1年生のとき、ひょんなことから100M走のタイムが伸びました。短距離が遅いというコンプレックスは性格にも反映されていたようです。タイムが伸びたら開放的になり、読書と将棋ばかりしていた私は、外でみんなと遊ぶようになりました(勉強はしなかった)。

土曜日は仲間を集めて空き地を探し、よくソフトボールをやりました。文化部や帰宅部集めてソフトボールのメンバーです。

私はレフトかセンターを守りました。外野手の見せ場は、大きなフライをキャッチしたり、ホームに返球してランナーを刺すことです。自慢じゃないけど、いや、自慢ですけど、高校の弱小野球部よりも遙かに強肩だったんですよ、あたくし。大きな当たりを見て「半身で追いかけると間に合わないな」と判断したら、ボールから目を切り一目散に背走、落下点と睨んだ場所で振り返る。予想通り落ちてきたボールをポンッとグラブに収まる……今じゃ自分でも信じられませんが、そんな芸当もできました。

生物部のSとは同じクラスになったことがなく、あまり親しく話したことはありませんが、腕力があって大きな当たりを打つから、いいライバルでした。外野の私はいつも深めに守り、彼が打ったフライを追いかけるのです。彼の鋭い打球は、全速力で走って差し出した私のグラブの、5ミリ先を抜けていきました。

3年生になると、草ソフトボールの試合は自然消滅。私以外のみんな受験の準備を本格的に始めたからです。卒業近くなり、Sと雑談をしました。私は、彼の打球を捕れなかった悔しい思い出しかありません。しかしSは、彼のフライを私が好捕したことしか記憶にないと言いました。お互い、悔しかったことばかり覚えているんだね、と笑ったのでした。

卒業後会っていないSが数日前に亡くなったそうです。

彼は勉強がよくできて大学でも優秀な成績を修め、えらいお医者さんになっていたと聞きました。

ああ、なんだかね。早すぎる。

左バッターのSが流し打ち気味に打ったフライが、レフト側にグイグイ切れていく軌道を思い出しています。