骨格筋から分泌されるホルモン

 走り始めてから「人間の身体ってうまくできているなあ」とよく思います。
 タモリと山中伸弥教授がやっていたNHKの番組では、臓器同士が連絡をとりあって身体の機能を保っていると言っていました。皮膚や脂肪も実は臓器で、ほかの臓器と信号を送り合っている、なんてね。自分の身体でも起きていることなのに知らなかったわ。

 その番組でも紹介されていましたが、筋肉も臓器の一種なんだそうです。

 健康長寿について書かれた樋口満『体力の正体は筋肉』には、こうあります。

骨格筋は、脳からの命令によって体を動かすためだけにあると思われがちですが、実はそうではありません。意外にも、がんや糖尿病を予防し、脳を刺激して認知機能を改善するなどの可能性のある重要な物質を分泌している。いわば内分泌器官でもあるのです。(49ページ)

  さらに同書では、デンマーク・コペンハーゲン大のチームが発見した30種類以上のホルモン群「マイオカイン(筋肉由来内分泌因子)」をいくつか紹介しています。やや乱暴に要約しながら列挙すると……

  • ミオスタチン=骨格筋細胞の増殖を抑え、エネルギーが浪費されるのを防ぐ。
  • カテプシンB=記憶力を高める可能性がある。
  • IL-6=感染や疾患に対する免疫系、血管系の生体防禦を活性化する。免疫細胞の暴走を抑える。
  • スパーク(SPARK)=大腸癌の自然死を活性化させ、発症を抑える可能性があると、マウスの実験で示されている。
  • アイリシン=脳の神経細胞の新生・再生に欠かせないたんぱく質の濃度を高める。
  • アディポネクチン=動脈硬化の進行を遅らせる。
  • IGF-1=アルツハイマー型認知症の原因物質アミロイドβを減らす。


 これらマイオカインは「血流の流れに乗って体のあちこちに届けられ、さまざまな働きかけをしている」そうです。
 著者は、その章を下記のように結びます。
「体を動かさなければ、病気にかかりやすくなる──私たちの体は、動くことを前提につくられているものなのです」(51ページ)

『人体六〇〇万年史』で読んだとおり、産業革命からこっち、たかだか10世代のあいだに、蒸気機関車や電車や飛行機や車やエレベーターやラジオやテレビやパソコンや電気シェーバーや電動歯ブラシが誕生したのです。私たちは、自分で動かなくなることを進歩と考えました(おっちゃんが子供の頃は、テレビににじり寄らないとチャンネルを換えられなかったんだぜ)。人間は急速に動かなくなりました。
 大昔の人は日常的に運動せざるをえなかった。現代狩猟採取民は1日10キロ以上移動するそうです。彼らは文明の利器をあまり持たないかわりに、免疫機能が発達し、頭がよくボケないのかもしれません。日本では、坂の多い場所が長寿の村だったりしますしね、もしあなたがピンピンコロリの人生を送りたいなら、エレベーターをやめて階段を使うとか、日常的に軽い運動をしたほうがよいのかもね。

 ……と書いて自分を鼓舞し、少し運動します。

 追記/1日おきタバタ式トレーニング、13回目終了。初回から25日経過したことになります。そういえば、中高年向きに書かれた『体力の正体は筋肉』には、おすすめトレーニングのなかにタバタもあります
が、とくに高齢者にはきついんじゃないかなあ。

体力の正体は筋肉 (集英社新書)

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