狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

東北・みやぎ復興マラソン、暑かった!……2017/10/1(日)

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「東北・みやぎ復興マラソン」に参加しました。

第一回大会はトラブルが起きがちで敬遠しているんですが、2011年の東日本大震災で津波に襲われた名取市の海岸沿いを見たかった。公認レースです。井上大仁選手らが招待されていました。

予報通り当日は晴れました。友人の車で、仙台のホテルから仙台空港アクセス線・美田園駅へ。シャトルバスに乗り継ぎ、8時頃には会場に着きました。きちんと案内を読まない私が悪いんだけど、案内板のたぐいが少なく、導線がわかりにくい。

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人が集まっているところでウエアの上に着ていた服を脱ぎ、すぐさまレース仕様に。ザックの中に入れたつもりのキャップがない。サングラスはあるけど日焼け止めを忘れちゃった。この日の私は、広島カープ初優勝(1975年)のレプリカユニフォームでした。たまに着るんです。背番号8はミスター赤ヘル山本浩二。

広場を見回すと、参加者12,000人はキャパオーバーに感じられます。参加賞引換所は長蛇の列でしたので、Tシャツはゴール後にもらうことに。荷物預かりやトイレも行列が長い。トイレは25分くらい並びました。スタート数分前に着くとBブロックは締め切られていて、Cブロック後方に立ちました。のどが渇いたなあ。

なんとたまげた。ぶち驚いた。

スターターとして紹介されたのが、わし(山本浩二のつもり)のライバルにして盟友、星野仙一じゃなあか。楽天イーグルスとまだ縁があるらしい。わしがマラソンを走るというのに、あいつがスターターとはなにごとじゃろうか。おい星野、お前も一丁走ろうや。

小さな音でパンッ。……えっ、スタート? ピッ(時計を押した音)

しばらくは渋滞です。ぎりぎりサブ4くらいの心づもりなので、3時間で33km走って、あとはキロ6分前後のペースで走ればいい計算ですが……。

この大会、コース図を見ればわかるようにエイドが多い。全部で18箇所もあるので、エイドごとの間隔は2.5km以下です。雲ひとつないかんかん照りだもの。冬のレースのように5kmごとだったら、私は熱中症になっていたでしょう。

コースはほぼフラット。新しい道路はグリップが利いて走りやすい一方、古い生活道路は冬場にチェーンを嵌めた車が走るためか轍ができて、ややしんどい。

おおきな平野です。あたり一面黄金色に輝く田園風景に見えるけど、塩害に遭った地帯だから耕作地に生えているのは稲穂ではなく雑草なのでした。仙台空港に流れ込んだ津波の映像をご記憶ですか。冒頭の地形図をご覧になればわかるとおりこのあたりは広大な平野で、津波の被害が広範囲に及んだことが実感できます。

14km過ぎの亘理大橋を越えたとき、阿武隈川の河口越しに海が見えたらしい。残念ながら認識していません。

その後はずっと海岸沿いです。潮風と波音は届くのに防潮堤の向こうにある海は見えないのです。防潮堤に並行して2車線の道路が走っています。道路の両脇をパイプで組んだ柵が守っていました。また津波に襲われた場合、流出物を堰き止めるブロックでしょうか……。防潮堤については賛否両論あるのを知っています。昨年ラジオで聞いた「生まれたときから眺めていた海が見えなくなって寂しい」「これじゃ津波が来てもわからない」という意見は、名取市の女性じゃなかったかな。

空港を越える前後から、エイドではさまざまなご当地フードが並んでいます。

北上して折り返すあたり、閖上(ゆりあげ)地区は、見てないけどヒットアニメ『君の名は』の舞台だとか。鉄骨だけになったような震災の遺構を見たらグッと迫るものがあります。奇跡の一本松みたいに、下のほうが裸になった松をたくさん見ました。

私は走っている途中はあまり食べないのですが、閖上でホタテの浜焼きを戴きました。串にホタテが2個刺してあります。「いくらでも食べて」と言われたから笑いました。ごちそうさまです。しばらくホタテの筋が歯にはさまってたっけ。

沿道からは「カープ優勝おめでとう」「浩二がんばれ!」と何十回となく声をかけられました。私が「楽天もがんばれ〜」とか「日本シリーズは楽天とやるよ〜」と応えると、ドッと湧きます。どこの大会もそうだけどカープユニのランナーは宮城にも多かった。さすがに楽天には少し負けていたけど。

「(被災地を走ってくれて)ありがとう」という声も聞こえます。これにはうまく返答できなかった。せいぜい「ありがとう」と鸚鵡返しに言っただけです。

3時間33キロをクリアしてからはのんびり走りました……と書きたいところですが、じつは結構足にきました。長いよ、42kmは。アスファルトが熱く、足裏がヒリヒリするので、エイドのたびに立ち止まってシューズに水をかけました。痙攣だけは気をつけなければ。エイドではボランティアのみなさんと結構立ち話もしました。

フィニッシュ後は、歩きながらメダルやタオルや水やアイスクリームなどを順繰りともらう東京マラソン方式。記録証によるとタイムは3時間55分35秒(ネット同53分32秒)でした。つまりゴールは13時10分だったようです。

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荷物をピックアップし、着替えたあと、復興マルシェですこし給食&給ビール。

帰りは友人とは別です。14時頃、名取駅行きのシャトルバス乗り場に向かいましたが、歩けども歩けども着きません。まいりました。2kmくらいあったんじゃないかな。足をやられていた人はつらかったでしょう。でもってシャトルバスがなかなかやってきません。少なく見積もっても20分は待ちました。距離の長さに文句を言っている人もいたけど、スタッフも責任を感じて困惑していたはずです。来年改善されるのを期待します。

ともかくレースは楽しく、復興の現状も一部見ることができました。全国から来た市民ランナーのみならず、地元のみなさんにも楽しいお祭りであったらいいんですが。

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私は東京オリンピック招致はやめて復興を優先すべし、とずっと考えてきました。いまでも反対です。震災から6年半も経つのに、被災者の方々から「ありがとう」と言われる現状がもどかしく、せつない。天災の記憶は風化させちゃいけないけど、「復興するぞ」という言葉がふだんの生活からが消えなきゃ本当の復興ではありません。

下のパノラマは、シャトルバスを待ちながら、撮ったもの。塩害の耕作地の向こうの松の向こうにある、そのまた先の防潮堤の向こうの、海を幻視してください。

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東京に戻って妻と待ち合わせて外食。そのまえに銭湯に入ったんですが、顔や腕が真っ赤になっていました。ひええ、これは火傷だ。とうてい風呂には浸かれず、水シャワーでアイシングしました……。