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萩往還マラニック参戦記(前編)スタート〜176km

 以下、どなたかが作ってくださったルートマップをご参照ください。

 第29回萩往還マラニック250kmの部に参戦しました。
 今回の日記は、どこに何時何分に着いたという詳細や、エイドの食事の写真などがほとんどないので参考にならないかもしれません……あらかじめお断りしておきます。

 萩往還250kmの踏破は、心のタスクリストに太字で記載したままでした。2017年と18年の2大会をもって終了するという話を聞き、挑戦を決意した次第。250kmの部を走らないうちに大会がなくなったら後悔します。
 この1ヶ月くらい仕事が忙しかった。連休の谷間の5月1、2日を空けるため、毎日明け方まで仕事していました。5〜7時に寝て10〜11時に起きる生活。萩往還は二晩徹夜で走るようなもんだから、寝ない練習と考えていました。もともと昼夜逆転型ですけどね。平日なかなか走れないのはストレスが溜まりました。

5月1日(月)大会前日
 スタート前日。広島県の郡部出身の私は広島市内のホテルに泊まり、萩往還出走する同級生ほか8名くらいでプレ飲み会をやりました。会場はサブスリーランナーIさんがやっているS食堂。Iさんは昨年250kmに参戦して残念ながらリタイアされています。今年はエントリーせず、われわれをサポートしてくださいました。
 ご存じの方も多いと思いますが、250kmの部は2日18時、140kmの部は3日18時、70kmの部は4日6時に山口市の瑠璃光寺の五重塔前(香山公園)をスタートし、各部4日の18時までに戻ります。歩け歩け35kmという部門もあり、4日6時にスタートして、70kmの往路にあたる35kmを踏破し、バスで帰って来ます。
 私は70kmの部を4年前、140kmの部を3年前に完踏。ただ、その後2年間ご無沙汰していました。事情によりウルトラには積極的でないので、萩往還の140kmのほかに100km以上の大会を走ったことはありません。時間を度外視すれば長い距離に抵抗はありませんが、知り合いを見る限り、(その後何度も完踏しているランナーであっても)初参加時にはリタイアが多い。それが不安材料のひとつでした。

★5月2日(火)スタートまで
 翌朝、つまりレース当日。少し酒が残っていたので水をがぶ飲みしました。
 250kmの部を走る知り合いのMくん(彼もサブスリーランナー)の車に同乗させてもらい、山口入りしました。お昼前には受付や食事、着替えをすませました。
 15時からの説明会で印象に残った話のひとつを紹介しますと……。
 前回の大会で「わたしギリギリまで頑張れるんです」という女性が入院してしまった例を挙げ、大会委員長は次のようなことをおっしゃいます。「限界まで無理して頑張る必要はありません。70キロの部の人にとって、白ゼッケン(250kmの部)のランナーは全員神々しいんです。スタートするだけで誇っていい。たまたま体調が悪くて第1チェックポイント(以下、CP)でリタイアしたって私は充分立派だと思いますよ」
 なるほどそうだった。4年前、70kmの部を走った時は、山から転がるようなスピードで駆け抜けていく人ももちろん、意識朦朧としてふらふら歩く人も、250kmの参加者はみんな超人に見えました。あのときの私には信じられないでしょうが、今日の自分は白いゼッケンをつけているのです。
 説明会場やスタート地点で全国から来た知り合いと再会、声をかけあいました。

★5月2日(火)スタート。18時〜
 いよいよ、18時からウエーブスタートです。f:id:mugibatake40ro:20170507163055j:plain
 私は最後から2番目のグループで、約21分遅れてエイエイオー。瑠璃光寺の五重塔が見える香山公園から走り始めました。ほどなく前のグループでスタートしたMくんに追いつきます。彼は余裕を持って制限時間いっぱい使うプラン。一方、私は例によってノープランです。Mくんはコースの予習が完璧で、以後助けてくれることになります。フラットな川沿いをゆるゆる走ると、だんだん日が暮れていきました。
 最初の上郷エイド(13.2km)でMくんと別れます。じつはすでに身体が重く、人と走る状態ではなかったのです。とくに左のハムやお尻が痛みます。カーフガード、ソックスともに、過去にレースで使ったモデルですが、この日はなんだかしっくりこない。それらを順に脱ぐとラクになりました。が、素足でシューズを履いたため、すぐに右足裏の皮が剥けて出血。さらに左足の甲や足裏もズルっと剥けました。無視していましたが、だんだん痛みがひどくなります。まあいい。全身だるくなって足の痛みが目立たなくなるのを待つことにしました。
 なんだか風邪っぽい気がします。半袖+短パンだったのですが、長袖やウインドブレーカー、ロングパンツなどを重ね着しました。半袖姿で夜通し走った方もいたので、明らかに私は厚着でした。
 体調がよくないのかなあ。
 すでに目標は「リタイアしないこと」になっています。

★5月3日(火)0時〜
 最初のチェックポイントである豊田湖畔公園CP(58.7km)に到着したのは1時50分くらいだった模様。ペースは上がりませんが、前後に人が多く、ひとり旅にならなかったのはありがたかった。軽食摂って、水を補充して走ります。
 足裏の痛みはどんどん増しますが、まだ走れるのだ。これしきでエントリー料3万8千円をフイにしてなるものか

 最初の夜に仮眠をとる人は少ないと聞いています。
 周りのランナーと会話しながら下りを走っていたら真横でドサーッと音がしました。振り向くと、転がったザックの中身が前方に飛び出し、さらにその先にランナーがヘッドスライディングしています。「大丈夫?」と声をかけたら「大丈夫です。寝てました」と返事しながら、立ち上がってザックを拾いに行きます。かかる場合、みんな反射的に大丈夫だと言うんだけど、平気じゃない場合もあるよなあと心配しつつ、勢いのまま通り過ぎてしまいました。
 約80kmの新大坊エイド(下の写真)では、「車道をふさいだランナーがいたので警告を出した。みなさんも注意してください」と、大会スタッフから指示。

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 87kmの油谷中学CP(下の写真)に着くころは夜が明けていました。リタイアを宣告する人がちょいちょいいます。

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 預けていた荷物から必要なものを取り出します。近くの食堂で梅干しを何個も入れておかゆを食べ、再スタート。後方からMくんがやってきました。彼は計画的に休憩を入れているらしく、前にいると思っていたら後からやってきたことが何度もありました。
 足の痛みもあり、この辺りではだんだん走れなくなり、ウォーク率が高くなっています。早朝だけどすでに暑い。半袖短パン姿です。
 スタートしてから約13時間。つまり朝の7時20分くらいでした。ちょうど100kmあたりで大失敗をやらかしました。98.5kmの俵島CPを見落としていたのです。一緒に進んでいたランナーに確認し、トボトボ戻ることに……。140kmの部を走った時も、約6kmロスしたんですよ。やはり100kmくらいのことでした。逢魔が時ならぬ逢魔が距離ですな。
 今回はタイムを狙わないこともあり、「いいネタができた」くらいに感じていました。逆走していると、みんなから「どうしました?」と不思議がられます。「チェックポイント見逃しました」と照れ笑いを浮かべると、気の毒がられたり呆れられたり、なかには「ダメじゃないか」と叱られたり。「前回、ぼくもここでやっちゃったんですよ」という方もいました。Mくんともすれ違いました。
 1.8km戻ると、「俵島」と大書された看板と、チェックシートに押すパンチがありました。たしかにさっきもこの看板は見たんです。女性ランナーが立ち止まってスマホで撮影していたので、「なんでこんなもの撮るんだろう?」といぶかしく思いながら通り過ぎたんですよね。つまりボーッとしていたのです。往復3.6kmのロス

 足裏が麻痺していたのか、わりと走れる時間帯で、きつめの下りも平気でした。ただ、日頃から傾斜に応じてスピードを上げて降りるのが癖になっています。ブレーキをかけてゆっくり下っても、バンバン足を打ちつけても大腿四頭筋にダメージが残るでしょう。このあたりの加減がわかりません。

 晴れて、かんかん照りでした。暑くて周囲が眩しい。サングラスが必要だったか。

★5月3日(火)12時〜
 立石観音CP(117.8km)から、東京からのウルトラランナーと併走することになりました。今回で10回目なんだそうです(今回完踏したら、翌年表彰されます)。さすがに道に詳しく、的確に誘導してくださるので思考を節約できました。感謝です。ウルトラについてもいろいろ伺いました。
 途中、津黄竜宮の潮吹という名所に向かう車の渋滞ができていました。歩道がしっかり確保されていない狭い道で、渋滞が起きている逆側を走るんですが、わずかなスペースを縫うように対向車が走ります。寝不足でふらついているランナーが引っかけられてもおかしくありません。
f:id:mugibatake40ro:20170507163108j:plain 千畳敷CP(125.4km)には12時45分くらいに到着。ここへ向かう激坂はきつかった。ローギアベタ踏み級の真っ直ぐな道が空にむかって続いています。風が強く、風力発電の風車がびゅんびゅん回っていました。
 足の調子が悪くなり、ご一緒した上記のランナーとは日置エイド(131.2km)で別れました。そこからは、100歩走って30歩歩いたり、50歩進んで15歩歩いたり、と、ひたすらラン&ウォークで前進。
 湯本温泉CPに右折する直前のセブンイレブンでソックスを購入しました。ひさびさに足の状態を見ると、あちこちむけた皮膚が痛々しい。穿いたソックスに、すぐに血がにじみました。シューズに足が入りづらいのはソックスが厚いせいではなく、すでに浮腫みはじめていたのでしょう。素足でなくなっても痛みは軽減されず、一歩一歩、ジンジン響きます。またしても50歩ラン+15歩ウォーク、50歩ラン+15歩ウォーク……。
 エイド&ゼッケンチェックの仙崎公園前(152.2km)を過ぎると、青海島・静ヶ浦キャンプ場の往復12kmが始まります。昨年は悪天候のためカットされたエリアです。いやはや、こちらもかなりのアップダウン。山口県って坂しかないのでしょうか?
 写真は青海島の海岸沿いから、法瀬の鼻という場所を臨んだところだと思います。綺麗な景色をじっくり見ないで進むなんて勿体ないなあ。

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 静ヶ浦キャンプ場のエイドで大盛りカレーを食べていると、Mくんが現れました。日が落ち始めたので、重ね着してヘッドライトを装着し、私は一足先に再スタート。
 ふたたび仙崎公園前でゼッケンをチェックされ、いよいよ仮眠できる宗頭文化センター(176.2km)に向かいます。しばらく暗い道を1人で行きました。地図を見ながら歩くと、足を踏み外し、道脇から40〜50センチ下の、葦らしきものが生えた草むらに落下しちゃいました。右足を着地したあとよろけます。尖った茎に手をついて、ブスッとやったらリタイアだなと覚悟。手をついたあと身体ごと転びましたが、さいわい無傷でした。お恥ずかしい。前後には誰もいなかったようです。
 スタートから26時間くらい経ったでしょうか。広島で目覚めたときから考えれば37時間寝てないことになります。
 このころから、幻覚が始まりました
 アスファルトに引かれた白線が劣化して、たくさんの筋が入っているのですが、これが全部人間の顔のつらなりに見えます。途中で抜かれたMくんがコンビニで休んでいたので、声をかけて数キロ一緒に走りました。あれ、私の真横にもうひとりの私が走っています。あんた、誰?
 やっとこさ宗頭に着いたのはジャスト22時
 いろんな方からの情報を綜合して、なんとか21時くらいまでには着きたかったので、少し遅いと感じていました。周囲から「昼間暑すぎて例年より距離を稼げなかった」という会話が聞こえてきます。
 荷物の整理をしたあと、毛布を敷いてある大部屋に入り、Mくんと隣り合わせて横になってみました。

後半に続く】