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糖質制限について

砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)

  • 作者:川北 稔
  • 発売日: 1996/07/22
  • メディア: 新書
 

最初に書いておきますが、私はプチ糖質制限程度です。ごはんにして1日1〜1.5杯くらいは食べています。糖質制限が話題になるまえから甘いものは苦手で、うちに砂糖はありません。たまに外食するとビールや日本酒も飲みますが、家では焼酎かウイスキーです。果物や根菜まで制限していません。おかずの味付けが変わるので、妻につきあって少しはごはんだって食べます。夫婦円満のために多少の妥協も必要です。

先日、胸やけ(胃食道逆流症)の原因が甘いものだと聞いて驚きました。糖質はガン細胞のエサだとか、高血糖は骨を糖化させて弱くするという話もあります。どのくらい信憑性があるのかわかりませんけど。

私の場合、糖質制限は健康のためではありません。もともと甘いものが苦手なこと、体重を維持しやすいことが理由です。でも、客観的に考えて、人間に糖質は要らないんじゃないかな、と今のところ推論しています。

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 まずは、基本的なことを。

 炭水化物=糖質+食物繊維
 糖質=糖類+糖アルコール+三糖類(デンプン、オリゴ糖)など
 糖類=単糖(ブドウ糖、果糖など)+二糖(砂糖ふくむ蔗糖、乳糖など)
 簡単に書けば、炭水化物は糖質をふくみ、糖質は糖類を含みます。

糖質制限という場合、これらすべてを制限することです。

「自分は炭水化物を制限している」と言う方が、走る途中、エネルギージェル摂ったりガリガリくん食べたりコーラ飲んでいたりします。炭水化物と糖質を別物と勘違いしているのかもしれません。

厳密に言えば、根菜、大豆以外の豆、牛乳、甘みのあるナッツ類も炭水化物です。市販のマヨネーズ、ソース、ドレッシングなどにもたいてい砂糖が入っています。お菓子は論外ですが、ハムやソーセージなどの加工品だって、成分表を見て「炭水化物 ◎g」とあれば、それが糖質です。4で割れば、角砂糖何個分かわかります。ちなみに、ごはん1杯で角砂糖14個分です。「コーヒーに、角砂糖はおいくつ?」「いりません」

日本含めアジア料理にはたいてい砂糖が使われます。焼き肉や鰻のタレ、うどんやそばのツユ、牛丼、カツ丼、魚の煮つけ、野菜の煮物、刺身醤油、寿司酢。日本料理だけではありません。四川料理も韓国料理もタイ料理もみんな甘い。……世の中は甘いものだらけです。お好み焼きをおかずにごはんを食べる大阪人を笑う人がいますが、カレーライスだって、砂糖入りルウ&米という意味では炭水化物オン炭水化物でありましょう。カツカレーにしたら、カツの衣のパン粉も加わりますし、サイドメニューにサラダを頼むと甘いドレッシングがかかってくる。外食で糖質制限を徹底するのは難しい。私は自宅兼仕事場で生活するから糖質をコントロールしやすいんです。

炭酸飲料やスポーツドリンク、エネルギー飲料にも、大量の糖質がふくまれています。血糖値が急上昇して目の前がカッと明るくなるから元気が出た気になる一方、体内ではインシュリン満載の消防車がサイレン鳴らして出動し、燃えさかる血糖値を下げようとします。無事血糖値が鎮火されるとだるくなり、また甘いものがほしくなる……。

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夏井睦医師は、炭水化物はタバコや酒とおなじく嗜好品だと言います。私も今ではそう思っています。それどころか、中毒性があるのかもしれませんことよ。

下の写真はドキュメント『Fed Up』の予告編より。アメリカ人が、砂糖中毒にさせられていることを暴いた映画だそうです。砂糖によって得られる幸福な気分は、コカインと同じなんですね。ひとたび人を砂糖中毒にすれば、食品業界は永続的に儲かるってことなんでしょう。こわいですね、こわいですね(淀川長治口調)。

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砂糖を大量に摂取し始めたのはヨーロッパでした。彼らはアフリカの黒人を中米に送り込んで働かせ、生産した砂糖を自国に輸入しました。お茶に砂糖を入れ始めたのはイギリス人。ティータイムは文化だなんて言いますが、イギリス人は茶も砂糖も100%輸入していたから、茶畑やサトウキビ畑を見たことがなかったんです。変な話です。

自生する木の実や芋類や果物より歴史は浅いけど、砂糖よりずっと長い歴史をもつ小麦や米。穀物は口にするまで手間がかかります。何ヶ月も栽培し、脱穀・精米・精麦しなければなりません。米はそこでやっと炊けますが、小麦となるともっと大変で、臼で挽き、発酵させ、焼かなければ食べられないのです。

なぜそこまでして人間は穀物を食べるようになったのか?……夏井氏は「甘かったから」と説明します。ああなるほど、やはりあれも白い粉と同じであったか。

もともと甘いのが苦手であった私は、砂糖や穀物を断つのは平気です。

私が子どものころ、少なくとも私の周囲の大人は間食やつまみに甘いものを摂らなかった。お菓子といえば煎餅をかじる程度。ビールや日本酒は飲んだし、ごはんや麵は食べましたが、ケーキは年に二、三度食べればいいほうで、ジュースも滅多に飲まなかった。ブラックコーヒーが大人の味であるように、大きくなれば甘いものから遠ざかると私は信じていました。あのころの私の周りの大人とに比べれば、いまの大人は甘いものをよく食べる気がします。

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炭水化物が人間にとってオプショナルであることの説明として、血糖値を上げるホルモンは5種類くらいあるのに、血糖値を下げるのはインシュリンだけだ、というのがあります。低血糖対策はしっかりしてあるのに比べ、高血糖への対応は手薄なのです。そして、血糖値を上げる栄養素は炭水化物「だけ」らしい……。

私は「永久歯は一度しか生えないのだから、本来、人体は甘いものを食べるように設計されてないのではないか」と考えています。霊長類のなかでもトップクラスである丈夫なエナメル質の歯が、炭水化物でボロボロになるのです。同じ糖質でも、果実は、生で食べれば歯に付着しないので虫歯になりにくいという話もあります。低GI(血糖値を上げにくい)であることは間違いないらしい。果糖だけでなくビタミンなどの栄養もあるので、果物に関しては、ただいま態度保留中。

ともかく私はいま、虫歯になるかならないかで食べ物を選ぶべきじゃないかと暫定的に考えています。犬も、人に飼われた場合、残飯や砂糖入りドッグフードを食べて虫歯になります。人間同様、犬も本来炭水化物を食べないのでしょう。

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おやつになにを食べたらいいのか……はまた書きます。

それでは、さよなら、さよなら。