狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

ネガティブスプリット……NYCマラソンを見て。

深夜、ニューヨークシティマラソンのライブ中継をネットで見ていたんです。
先頭集団は十数人。ケニアやエチオピアの選手のなかには今井正人選手と川内優輝選手も混じっていました。暑さのせいかラビットがいなかったせいか前半はやや遅め。ハーフ通過は1時間7分近くかかっています。川内選手はジリ貧に遅れ始めますが、今井選手はずいぶん集団にいて、すこしペースが落ちたときに仕掛けました。
しかしやはりアフリカ勢は強かった。優勝したキプサング選手は、2時間10分59秒でした。たいする日本人選手は、今井選手が2時間14分35秒で7位。川内選手が2時間16分39秒で11位。(下の表は、マイル表示です)

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ハーフまでは、キプサング選手も日本人選手も同じタイムです。しかし、キプサング選手は前半よりも後半のタイムが約2分上まわっていますね。
フルマラソンを走るような方はご存じでしょうが、後半が前半より速いことを「ネガティブスプリット」と言い、理想の走りと言われます。ラン仲間にレース計画をたずねると、たいてい「キロ何分何十秒で行けるとこまで行って貯金し、後半失速しても目標タイムを達成する」という答えが返ってきますが、実際は「キロ何分何十秒で抑えて、後半ペースを上げる」というほうがタイムが出るみたいですよ。
吉岡利貢『マラソンは「ネガティブスプリット」で30分速くなる! 』(ソフトバンク新書)は、近年、アフリカ勢のトップ選手は後半スピードアップして好記録を叩き出すと指摘しています。ニューヨークシティマラソンでは6位までが後半型でした。先日、2時間2分57秒の世界記録をだしたデニス・キプルト・キメット選手も、ハーフ通過が1時間1分45秒です。
無理に先頭集団につかなかった選手が、失速したランナーを拾いながらグングン順位を上げ、結果的に案外いい成績を残すのをよく見かけます。今井、川内選手も当日の気温や調子をしっかり見極めて客観的に「その日のベストタイム」を想定していれば、イーブンもしくはやや後半型のレース運びでもっといいタイムが出たのかもしれません。しかしそれでは最初から優勝を諦めるようなものだし、実業団ランナーであればユニフォームの企業名をテレビ画面に映せないのが歯がゆいところでしょう。
まあ、われわれ市民ランナーの多くはトップ争いなんて関係ないんだから計画立てて走りましょう、ということですね。きちんと計算していませんが、フルマラソンでは私は案外後半の落ち込みが少なく、失速したと思っても2〜3分程度じゃないでしょうか。ネガティブスプリットは2度あり、終盤気持ち良く順位を上げた記憶があります。またやってみたいなあ。

(ちょっと一言。吉岡氏の本は非常に面白いんですが、ソフトバンク新書のマラソン本は総じて煽情的なところがあり、ネガティブスプリット出したから全員が全員30分も速くなるなんてことはないと思いますよ)

マラソンは「ネガティブスプリット」で30分速くなる! (ソフトバンク新書)

マラソンは「ネガティブスプリット」で30分速くなる! (ソフトバンク新書)