狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

オダサク文学散歩

夫婦善哉 正続 他十二篇 (岩波文庫) 作者:織田 作之助 岩波書店 Amazon 六白金星・可能性の文学 他十一篇 (岩波文庫) 作者:織田 作之助 岩波書店 Amazon 9月3日(日)に、広島から大阪へ。新大阪から梅田に行きました。人が多いのう。 いま、大阪と資本主…

平和公園の直線

9月1日から4日にかけて、広島と大阪に行きました。今回は広島の話です。 昨年、こんな記事を書きました。 丹下健三は、平和記念公園の資料館、慰霊碑、原爆ドームなどを一直線上に配置し、さらにその直線を北の方にまで伸ばそうとしていました。旧広島市…

矮小化される、国連人権理事会の会見

今年8月4日に行われた、国連の人権理事会作業部会の記者会見。10日ほど経ちましたが、どうやらこの会見が軽視されているというか、矮小化されているようです。ぜひとも全部見てほしくて、リンクしました。 かねてより、国連の人権理事会がジャニーズの性加…

堀切直人『喜劇の誕生』

大学時代に読んだ文芸評論家・堀切直人『喜劇の誕生』(沖積舎、1987)にやたら「ノマド」が出てきたけど、あれはどういう意味で使っていたんだっけ……とたまに思いだそうとしていたんです。こないだ本棚から見つけて読んでみたところ、ズバリ、 狩猟採集民 …

新井貴浩監督の野球

不思議なことに、広島カープが1日だけ(7月27日終了時)首位に立ちました。 ほとんどのカープファンは、開幕前に優勝なんて意識したことがなく、「Aクラスになれれば御の字」と考えていたのではないでしょうか。前年から戦力はアップしていませんし。 新井…

魯迅「賢人と馬鹿と奴隷」など

阿Q正伝・藤野先生 (講談社文芸文庫) 作者:魯迅 講談社 Amazon 5月半ばのこと、魯迅「賢人と馬鹿と奴隷」ってどんなんだったっけと、出かけたついでに図書館でコピーしてきました(文庫には入っていません。多分)。魯迅は1881年生まれの中国の文学者。儒…

夏目漱石『坊っちゃん』と資本主義

坊っちゃん (新潮文庫) 作者:漱石, 夏目 新潮社 Amazon 簡単に書けば、資本主義とは、誰かが誰かを搾取して儲けることです。資本家が儲けるのは、がんばる労働者からピンハネするから。 政府は資本主義が好き放題搾取するのを許しちゃいけません。誰かが儲け…

「私の音楽は不要でしょう」に思うこと。

松尾潔がジャニーズ批判をしたことにより、スマイルカンパニーが契約を打ち切った。その決定には山下達郎も賛成した、という一件ですが……。 先日のラジオ番組で、山下達郎がこの件について釈明したそうです。いろんな人がきちんと批判しているので、あえて触…

ケストナー『飛ぶ教室』

飛ぶ教室 (新潮文庫) 作者:エーリヒ ケストナー 新潮社 Amazon 何十年かぶりに、ケストナー『飛ぶ教室』(原題 Das fliegende Klassenzimmer)を読了。池内紀訳の新潮文庫版でした。ええ話じゃったわい。おじさん、心が温まりました。 舞台は、ヨハン・ジギ…

『女性差別はどう作られてきたか』

女性差別はどう作られてきたか (集英社新書) 作者:中村 敏子 集英社 Amazon ジェンダー研究の歴史について何か読もうと、書店で見つけた本です。著者は政治学者、北海学園名誉教授だそうです。福澤諭吉、ホッブズに関する著書、キャロル・ペイトマンの訳書が…

エリック・ウィリアムズ『資本主義と奴隷制』

資本主義と奴隷制 (ちくま学芸文庫) 作者:エリック・ウイリアムズ 筑摩書房 Amazon エリック・ウィリアムズ『資本主義と奴隷制』(1961)は英国の植民地政策を詳細に調べ上げた労作でした……が、専門的すぎておすすめしません。三角貿易とかね、アフリカ系の…

ジェームズ・C・スコット『反穀物の人類史』

反穀物の人類史――国家誕生のディープヒストリー 作者:ジェームズ・C・スコット みすず書房 Amazon ジェームズ・C・スコット『反穀物の人類史』(みすず書房)について。 私は読んでいませんが、C・スコットには『ゾミア』という大著があります。国家にした…

フロムと丸山眞男

自由からの逃走 新版 作者:エーリッヒ・フロム 東京創元社 Amazon 超国家主義の論理と心理 他八篇 (岩波文庫) 作者:丸山 眞男 岩波書店 Amazon 本を読んでいると、同じような記述に出合うことがあります。エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』(1941)を読…

フロム『自由からの逃走』

自由からの逃走 新版 作者:エーリッヒ・フロム 東京創元社 Amazon エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』(東京創元社)を読みました。フロムは社会心理学者で、本書は1941年に書かれています。市井の人々がナチスを支持してしまった心理を明らかにしようと…

菅原和孝『もし、みんながブッシュマンだったら』

もし、みんながブッシュマンだったら 作者:菅原 和孝 福音館書店 Amazon クア・ブッシュマン(自分たちを「クア=われわれ」と呼ぶブッシュマン)の回想。 「とうさん! ぼくはノア(ダイカー)の仔を打ち殺したよ」 とうさんはおれのほうをちらっと見て、そ…

『Humankind 希望の歴史』

Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章 作者:ルトガー・ブレグマン 文藝春秋 Amazon Humankind 希望の歴史 下 人類が善き未来をつくるための18章 作者:ルトガー・ブレグマン 文藝春秋 Amazon スティーブン・ピンカーは統計を操作し「人…

『ホモ・ルーデンス』2/2

ホモ・ルーデンス (中公文庫プレミアム) 作者:ホイジンガ 中央公論新社 Amazon 以前、少年野球を観ながら、ふとこんな疑問が湧いたと書きました。 メジャーリーグやプロ野球に負けず劣らず、素人野球の観戦が楽しいのはなぜか? 大リーグはムキムキの男性た…

『ホモ・ルーデンス』1/2

ホモ・ルーデンス (中公文庫プレミアム) 作者:ホイジンガ 中央公論新社 Amazon 読んでおかねばと、ヨハン・ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』(中公文庫)を通読。ホイジンガ(1872〜1945)はオランダの歴史家です。1938年に発表されたこの本では、人類はホモ…

J・S・ミル『自由論』

自由論 (光文社古典新訳文庫) 作者:ジョン・スチュアート ミル 光文社 Amazon J・S・ミル『自由論』(1859)を再読する気になったのは、この本に照らして日本がどのくらい酷いかを確認するためでした。今回は光文社古典新訳文庫を読みました。 内容をひと…

栗原康『はたらかないで、たらふく食べたい』

はたらかないで、たらふく食べたい 増補版 ――「生の負債」からの解放宣言 (ちくま文庫) 作者:栗原康 筑摩書房 Amazon 1ヶ月ほど前、NHKラジオの高橋源一郎「飛ぶ教室」に栗原康がゲスト出演しました。栗原氏も(高橋氏もですが)私と同じタイプだとすぐにわ…

田中圭太郎『ルポ 大学崩壊』

ルポ 大学崩壊 (ちくま新書) 作者:田中圭太郎 筑摩書房 Amazon しばらく前のこと。 外出先でビール飲みながら、買ったばかりの田中圭太郎『ルポ 大学崩壊』(ちくま新書)を読み始めたらクラクラしました。小泉政権、安倍政権下で、大学の腐敗がここまで進ん…

『その農地、私が買います』

その農地、私が買います 高橋さん家の次女の乱 作者:高橋久美子 ミシマ社 Amazon 高橋久美子『その農地、私が買います』(ミシマ社)を通読。著者がなにかのラジオに出演されていたので知っていました。父親が売って太陽光パネルに覆われることになった愛媛…

『緑の哲学』

緑の哲学 農業革命論: 自然農法 一反百姓のすすめ 作者:福岡正信 春秋社 Amazon 服部文祥『お金に頼らず生きたい君へ』に、福岡正信『緑の哲学』が出てきたので、積ン読本からを見つけて読みました。 冒頭から面白い。 脱学校や脱道路を唱えたイリイチ(イリ…

服部文祥『お金に頼らず行きたい君へ』

お金に頼らず 生きたい君へ: 廃村「自力」生活記 (14歳の世渡り術) 作者:服部 文祥 河出書房新社 Amazon 1ヶ月ほど前に、服部文祥『お金に頼らず生きたい君へ』(河出書房新社)を読みました。 限界集落の廃屋と3000坪の土地を20万円で購入し(固定資産税は…

放送法の問題。メモ。

全然更新していません。WBCはほとんど見ず、参議院予算委員会見て、本読んで、軽いジョギングして……です。今日からしばらく1日1投稿いたします。 ★ ★ ★ ひとまず、放送法のことをメモっておきましょう。 3月7日、立憲民主党・小西洋之議員が、総務省から…

コロナ第9波は?

確定申告も例年のように最終日に終わりました。花見じゃ、花見じゃ。 マスクを外していいだのなんだの、喧しい昨今。コロナ第8波はおさまったと見ていいと思いますが、次の波は来るのでしょうか。たしか医師の倉持仁さんは、「コロナは春・夏・冬にはやる季…

東京マラソン応援と藤井聡太

奇跡的に8時半に目が覚めたので外出。東京マラソンの応援です。アプリで友人数人の位置を確認し、まずは秋葉原(写真)で応援しようとしたんですが、残念ながら友人が見つからず……。総武線に乗って両国へ行きました。こちらは2車線なので、見つけやすい。…

人材ぎらい……『学びの本質を解きほぐす』2

学びの本質を解きほぐす 作者:池田 賢市 新泉社 Amazon 「人材」「人的資本」「生産性」なんて単語を苦々しく見ていましたが、先史社会のことを考えるうち嫌悪感が増しました。現代人は人格全てが資本主義に取りこまれているみたいです。人間は材料でも資本…

『学びの本質を解きほぐす』1

学びの本質を解きほぐす 作者:池田 賢市 新泉社 Amazon 私はただいま57歳。微分積分とか三角関数とか、仕事上不必要なこともあり、私はいまだに理解していません。数学は崇高な学問と認識していますが、高校の数学を「ちゃんとやっておけばよかった」と後悔…

将基面貴巳『反「暴君」の思想史』と神宮外苑

反「暴君」の思想史 (平凡社新書) 作者:将基面 貴巳 平凡社 Amazon 先日書いた将基面貴巳『従順さのどこがいけないのか』(ちくまプリマー新書、2022刊)は、『反「暴君」の思想史』(平凡社新書、2002)を若い人向けに書いた本だとあったので、しばらく前に…