狩猟採集民のように走ろう!

狩猟採集民について学びながら、現代社会や人間について考えるブログ

今日のあれこれ……12月17日の日記。

 某練習会のペースメーカーをやってきました。
 朝、7kmゆるジョグして会場へ。おとといの練習会のダメージが残っていて、かなり不安です。6:30/kmでしか走れなかった昨夜よりは少しマシですけど。
 1,000m(R=400m)× 5本のインターバルで、私は、4:20〜25/kmの組を先導することに。10人以上のグループでしたか。「走れなかったらすみません」と冗談(半分本気)を飛ばしてからスタートしました。
 200mおきに距離表示の看板があるので、そこを52〜53秒で通過すればいいんですけど、00:53の次が01:46で、ええっとその次が……うひゃあ、寝不足で頭が働かない。
 GPSウォッチ・ガーミンのLAPペースを見ながら走りましたが、誤差が生じるのと遅れちゃいかんという気持ちがあるようで、最初の2本は4:15 - 4:15。みなさんすみません。その後は調整して、4:23 - 4:23。ふう、なんとかまとまった。
 ラスト1,000mはフリーでどうぞと言うと、みなさん前に出ます。私はラスト200mだけダッシュして4:09でした。お尻とハムが悲鳴を上げましたが、無事終わりました。ほとんどみんな走れたんじゃないかな。
       ☆
 以下、ハプニングふたつ。
《その1》あったかいので直前にロングパンツを脱いで短パンになりました。しかし短パンの紐がゆるんでいたらしい。スタート直後からずり落ちるんじゃないかとヒヤヒヤしました。1本目が終わったリカバリーできゅっと結んでことなきを得ました。指がかじかむような気温じゃなくてラッキーでした。ファインプレー。
《その2》途中、隣のグラウンドから軟式の野球ボールが飛び込み、私の胸元をかすめました。ハッとして左手で捕ろうとするも、失敗。さいわい誰にも当たらず、ボールは消えていきました。凡プレー。

練習会でレペ……12月15日の日記。

本日、ちょっと時間ができたので練習会へ。帰宅後また仕事ですけどね。T_T

都合によりコーチが1人だけとのことで、みんなまとめてレペでした。

ランナーのみなさんには説明不要ですが、レペはレペティションの略。全力で走って完全休憩して心拍数を戻し、また全力……を繰りかえすトレーニングです。私の場合、本日、全力を振り絞ったかって……? どうか聞かないでくださいまし。

参加者は15人くらいかな。800mのコースを周回します。

設定は、3,000m20分まわし)+ 2,000m15分まわし)+ 1,000m

1キロ5分ペースだとしたら、3,000mと2,000mのあと、それぞれ5分間のインターバルがあるということです。

おとといのジョグで、坂道ふくめ50〜150mのWS(ウインドスプリント)を15本くらい入れ、うち1、2本、胴体を使ったいい感触をつかめました。再現できるかな。

わざと10秒遅れくらいでスタートした私。設定ペースに関してはまったくのノープランです。最初の3,000mを4:15/km、以下4:00/km、最後の1,000mは4:00/km未満でいこうかな、とぼんやり思っていましたが、最初からみんな速いので、こちらもつられました。何人か抜くうちに、4:05/kmで走ると言っていたコーチの背中が見えたので、追いかけます。ラスト400mは息が弾みました。結果、

  • 4:044:004:0212:06

折角なら12分カットしとくんだった。

つぎの2,000mは8:00と目標を定めます。最初より1,000m少ないので気が楽です。

  • 4:003:597:59

計画通りまとまりました。ラスト200mは息が苦しかったけど、「脚ではなく胴体で行け!」と自分に言い聞かせました。

最近、左回りのこのコースを走ると左足のアキレス腱がズーンと痛みます。路面が硬いせいかな。新品のソーティを履いていました。

最後の1,000m。またまた最後尾からスタート。2本やったあとだと、同じペースでも楽になると実感します。少しあげたいけど、4:05/kmペースのコーチの後ろに総勢5人のグループができていて、抜けません。最後の300mで1人抜けだしたら少しバラけたのであわててスパートしましたが、追いつけず。無念。

  • 3:47

ラスト1,000mはやや悔いが残りますが、どれもラストスパートして心肺を追い込んだので、いい練習になった気がします。この設定のレベはだんだん距離が短くなるぶん気持ちがラクになりますね。おもしろいかも。

スピード持久力はわからないけど、スピードは戻ってきました。

アップとダウンふくめて14kmでした。

『白米が健康寿命を縮める』……チョーこええ。

 ※説明するのが面倒くさいので、今回は炭水化物と糖質をごちゃまぜに使います。

 数年前、テレビで見た村田諒太選手と女性タレントの会話。
 女性「どんな料理が好きですか」
 村田「ん〜、和食は苦手です」
 女性「ええッ! 和食はヘルシーなのに」
 村田「食べたあと、口のなかがベタベタするのがイヤなんです」
 ……私の感想はこうです。「村田選手よ、私には分かるよ」

20年くらい前、禁煙してから、甘さに過敏になりました。ある日、ビールを飲んでいると、いつもより格段に甘い。「誰かが角砂糖いれたのか?」とあたりを見ました。煙草を吸っているあいだはビールの甘さを感じてなかったんですね。

走りはじめてから「本来、人間はどんな動物だったか」と考えるようになりました。前にも書いたとおり、人間の食事に関して私なりの結論は出ています。

 虫歯になる食べ物は、もともとの人間の食べ物ではない。

『炭水化物が人類を滅ぼす』(光文社新書)などには血糖値上昇の弊害や糖新生のメカニズムから炭水化物は必須では無いと説明されますが、もっとシンプルに、甘いものは虫歯になるからそもそも人間の食べ物ではない、と言えるはずです。ビール、日本酒、ジュース、お米、パン、砂糖の入った料理やお菓子などを食べると口がベタベタします。あの粘りは炭水化物に共通ですよね。

人間の歯は霊長類のなかでもかなり硬いと、島泰三『親指はなぜ太いのか』(中公新書)にあります。その頑丈な歯を齲蝕(うしょく)させるものが糖質です。野生動物は虫歯になると命取りでしょう。かつては人間だってそうだったはずです。われわれの身体は糖質を摂るように設計されていないのです。

虫歯になる・ならないの観点から人間の食事について書いた本はないかと検索していると、花田信弘『白米が健康寿命を縮める』(光文社新書)見つかりました。サブタイトルは、「最新の医学研究でわかった口内最近の恐怖」。

一読……ああ、こわかった。

あまりにもこわいのでサーッと斜め読みし、おそるおそる読み返しました。

虫歯の穴や歯肉溝から侵入した細菌が体内にいじわるをし、血管系の病気や、がん、認知症につながるというのです。慢性炎症を引き起こし、ジワジワ身体をむしばむというのも恐ろしい。その影響は私の想像を超えていて、チョーびびりました。足の動脈と口内細菌は9割方一致するんですって。

はい! 歯磨きします! 歯医者に行きます! 糖質は極力避けます!

砂糖と、加熱して糊化した穀物や芋類のデンプンは大敵らしい。

砂糖は頑強なエナメル質を融かし、米はその内側の象牙質を虫歯にすると書かれています。和食はじめアジア料理は砂糖をふんだんに使います。

旧来の主食重視は理想の食事ではない、と著者も書いています。瑞穂の国に生まれた我々は、お米を残さずたくさん食べることこそがいいと教えられてきましたが、それにより病気になるのであれば、見直すことも必要です。この本にあるとおり、カロリーという概念も見直すべきです。虫歯になる甘いものばかり食べてカロリーを稼いでも仕方ない。必要なのは、人間がもともと必要としている栄養素だもの。

……ひとつ疑問なのは、果物です。

果物では虫歯になりませんか? 私は果物は多少食べたいんですよね。たとえば、オレンジ色ではなく黄色い柑橘類は、比較的甘みが少なく酸味がまさっています。これからの季節だと、蜜柑は嫌いだけど、金柑は好物です。

熟れたバナナは口がネチャネチャしていて苦手ですが、どうなんだろう、サルはバナナを食べて虫歯にならないのかな、と思ったら、こんな記事(動物園の食卓革命 バナナ禁止、サル健康に:朝日新聞デジタル)がありました。

サルにバナナなどの果物をやめたら肥満がなくなり虫歯も減ったとの英国の動物園の発表を参考にした。

雑食できる人間は火を使うことで米や麦や芋、アク抜きしたドングリを食べられるように加工しました。結果、安定的な食糧を得て人口は爆発的に増加しましたが、一方で糖質による病気や肥満に悩まされました。

生態系から飛び出したわれわれは地球上に殖えすぎたのではないかしら。考えれば考えるほど、甘くて(私以外には)美味しくて罪深き、炭水化物。

★   ★   ★

この本で、目から鱗が落ちたことをひとつ。

675年、天武天皇が肉食を禁じたのは仏教的な考えに基づくものだといわれてきましたが、著者は否定しています。禁猟は春から秋までと定められていました。農耕期はきちんと農業に従事させ、年貢を確保させたかったのだ、と言うのです。動物よりも米は管理しやすく税金をとりやすい。なるほど。 

  

『ゼロベースランニング』と、台形&大転子

ゼロベースランニング 走りの常識を変える! フォームをリセットする!

ゼロベースランニング 走りの常識を変える! フォームをリセットする!

  • 作者:高岡 尚司
  • 発売日: 2016/12/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

先日来、何度も読み返しているランニングフォームに関する本です。著者・高岡尚司さんは、裸足でフルマラソンを2時間45分39秒(裸足ランの日本記録)で走られた方です(ランニングシューズを否定している本ではありませんので念のため)。

ときどき「裸足で走ればすべてが解決する」という意見を耳にしますが、私は疑っています。素足もしくは裸足系シューズを履いたランナーを観察すると、踵着地でおそるおそる走っている人が案外多い。アベベは裸足で世界最高記録を出したけど、たいていの人は、裸足になるとランニングシューズを履いたよりずいぶん遅くなるはずです。かくいう私もビブラム・ファイブフィンガーズではキロ5くらいまでしか出しません。

高岡氏は、裸足で走り始めてから、ふくらはぎを左右それぞれ3回ずつ痛めたそうです。故障を通じてたどりついたフォームの基本は、胴体を使って走るということ。私はいま「胸部から骨盤までを使って走り、手足はついてくるもの」という考えていますから、いい本に巡り会えました。

そのうえで、着地や腕振りなど、いろんな動きを解説しています。フォームやストレッチのモデルとなっているのは著者自身。写真がたくさん挿入されています。

私は、月に3〜4回、裸足系ランニングを取り入れています。VFFやサンダルで走ると、身体のおかしなところがビビッドに自覚できるというメリットがあるからです。


さて、本文の内容に少し触れます。《胴体の動きは四肢の動きに先行する》《脚は自然についてくる》などの項目は私の考えを補強してくれます。「蹴ってはいけない」とか「踵着地はいけない」というのは、ランニング初心者には参考になるでしょう。

私がビックリしたところはたとえば……。
接地時間は短ければいいわけではない》は初耳でした。
大転子で加速する》も、どういうことなのか考えさせられます。いままで大転子を気にしたことがなかったんです。身体を台形に使うことで大転子が移動し、バネが生きるとあります。私なりには、支持脚になって踏み込む瞬間、その脚に体重がきちんとかかり、地面反力を全身で受ける姿勢のつくりかただろうと解釈しています。

著者が書くことが、アフリカ人の男性ランナーのフォームの解説になっているのがおもしろい。ケニアやエチオピアのランナーは(よく見たら全員というわけではありませんが)フォアフットで着地し、胸を出すようなフォームです。腕振りも似通っています。つまり、彼らは理にかなった走り方をしている、ということでしょう。

日本人は体格や筋肉の質が異なることがあったとしても、目指す走り方は同じだと私は考えています。この本のフォームを完全に習得するには時間がかかるでしょうが、読者が真剣に考えることで、跳ね返ってくることが大きいという予感があります。

繰り返し読みます。

今年2回目の練習会……12月8日の日記。

 スピードを出す気になれないので、きちんと週1で練習会に顔を出すことにしました。ただ、いつも参加する中級クラスがお休みの日でした。
 本日の設定は、5,000m(R=400m)2,000m(R=200m)フリー1,000m。
 5,000mと2,000mは、ペース走(ロングインターバル走?)で、上級クラスは3:50/km、初級クラスは4:50/kmというペース設定……。

 迷わず後者を選択したのでした。

 おろしたてのミズノ WAVE EKIDEN を履いていました。初めて履くシューズは、27.0cmと26.5cmでいつも迷い、小さい方を選ぶと必ず後悔するんです。右の親指の爪が黒くなっちゃったかなあ、と痛みをこらえて走ってました。バカです。安定性も今ひとつな気がします。残念だけどジョグ用にしよう。
 4:50/kmはきつくないペースですけど、こらえ性がありません。シューズのせいにしてやめちゃおうかな、なんてふと思うのが情けない。ほかのランナーのフォームを見たり遠くを眺めて気をまぎらわせました。練習もレースも「やる気」が大事ですね。モチベーションを維持して最後まで走り通す気持ちを養わなければ。
 ラストの1,000mは、前に飛び出した人を追い、ビルドアップ気味に差をつめていましたが、とらえられず、無念。それでも3:39は、自分ではまあまあかな。

 4:45/4:45/4:48/4:48/4:47(2:25)4:50/4:50(1:12)3:39
 =40:50(4'44/km、距離8.6km)

 アップとダウンあわせて14キロ走りました。

金栗足袋について……『陸王』を読みました。

 池井戸潤『陸王』(集英社)の感想です。

 零細企業である老舗の足袋専門業者「こはぜ屋」の社長が、マラソン足袋「陸王」開発を思い立ち、社員はじめいろんな人と協力し合いながら悪戦苦闘するストーリーです。改良に改良を重ねた陸王を、怪我から復帰した実業団選手が履いてくれることになりますが、ライバル会社の妨害があったり、取引銀行から融資を受けられなかったりと、いくつもの障壁が立ちはだかるのでした……。
 さすが定評のあるエンタテイメント作家です。面白くて一気に読みました。何にしてもすんなり進まないところが魅力ですね。予定調和へ一直線じゃつまらないもの。
 ちなみに、主人公・紘一の「紘」の字は、戦後から昭和51年まで人名に使えない漢字でした。八紘一宇の「紘」だからでしょう。おそらく主人公は昭和30年代か40年代生まれなので……あ、こんな情報不要でしたね。
 装丁がまた素晴らしい。カバーは小説風ではないけど、悪くない。表紙の蓮の絵もいい。たぶん誰も気にしないんでしょうが、見返しと別丁扉の用紙の選定がみごとです。

 駅伝やフルマラソンのシーンもあり、盛り上がります。
 私に不満があるとすれば、ベアフット系シューズの魅力が期待したほど書かれていないことでしょうか。
 裸足系ランはフォアフット着地を促し「人間本来の、怪我しにくい走り方を実現できる」と説明され(エビデンスレベルはわかりませんが、そういう研究はあります)、薄いサンダルで山岳ウルトラレースを走破するタラウマラ族も紹介されています。
 でも、おそらくずっと踵着地だったであろう実業団選手が陸王に足をいれたときのファーストインプレッションや、フォームの変化なども読みたかった。そういえば、レース中の茂木選手の心理状態もほとんど書かれなかったような。私のないものねだりかな。著者が勝手な空想を書かない主義であれば、もちろん尊重します。

 マラソン足袋の歴史にもあまり触れられません。
 以下は、後藤正治『マラソンランナー』(文春新書)から得た知識です。
 のちに日本マラソンの父と呼ばれる金栗四三は、1912年、足袋を履いてストックホルムオリンピックを走りました。途中で倒れてゴールできなかったものの、55年後、同地にに招かれ、ゴールテープを切りました。フィニッシュタイム54年8ヶ月6日5時間32分20秒3は世界一遅いフルマラソン記録だとか。ゴール時の写真を見ると革靴です。(余談ですが、『陸王』は金栗四三に「かなぐりしぞう」とルビを振っています。「しそう」と思っていましたが、どちらでもよいとの説も。55年後に発行されたストックホルムオリンピックでの完走証にも「Shizo」とありました)
 1936年、朝鮮半島が日本統治下にあったため日本選手としてベルリンオリンピックに参加し、優勝した孫基禎も足袋を履いていました。
 金栗は、東京ハリマヤ足袋店の主人・黒坂辛作とともに研究し、自転車のゴム底を貼った足袋を考案。1950年代はじめまで日本人ランナーは「金栗足袋」を履きました。
 1951年、ボストンマラソンで広島出身の田中茂樹が優勝。足袋シューズでの快挙でした。レース後のインタビューでは《アメリカの記者たちはしきりに "魔法のシューズ" について訊いてくる。足先の割れた「金栗足袋」である。日本選手が国際大会で足袋を履いた最後のレースでもあった》(72ページ)
 金栗の伝記『走れ二十五万キロ──マラソンの父 金栗四三伝 復刻版(第2版)』でも、黒坂と共同開発したマラソン足袋に関して詳しく書かれています。金栗四三とその弟子・秋葉祐之は、その足袋で下関─東京1200キロを走破したのでした。
『陸王』のなかでは、こはぜ屋の先代がマラソン足袋の開発を試みています。1960年代のことだとすると、廃れた競技用の足袋を復活させようとしたのかもしれません。
 
 ハリマヤ足袋について検索していると、下記のサイトが見つかりました。

 ところで。
 裸足系ランニングだと自然にフォアフット着地になる、といたるところに書かれています。素足でも踵から着地する人を何人も見ているから私は信じてはいませんが……。金栗足袋がどんなふうに磨り減っているのか、画像検索したところ、はっきりわからず。金栗、孫、田中各選手のフォームもヒットしますが、フォアフットである確信は得られません。
 福岡国際マラソンHPのプレーバックをチェックしたところ、第3回優勝の古賀選手はたぶん足袋ですが踵着地に見えますね。

『陸王』のモデルになったマラソン足袋は「MUTEKI」です。私は試し履きしたことしかないんですが、好感触でした。いま履いているビブラム・ファイブフィンガーズがダメになったら購入します。

陸王

陸王

 
マラソンランナー (文春新書)

マラソンランナー (文春新書)

 
走れ二十五万キロ マラソンの父 金栗四三伝 復刻版(第2版)

走れ二十五万キロ マラソンの父 金栗四三伝 復刻版(第2版)